01 2017

好きな話

誰かのブログだったか、何で読んだのか忘れだけど印象深い話。

ホームレスらしきお婆さん。
よれよれの重ね着をして、汚れたキャリーバッグをずるずると引きずりながら。
あるデパートの売り場を横切って行った。
(トイレにでも行ったのかな)
その姿、歩きっぷりが、あまりにも味わい深く見事だったので、
おもわず足を止めてずっと見ていた、目が離せなかった、という話。

この話、面白くて忘れられない。
デパートの明るすぎる照明、ピカピカの床や高い天井。
きれいに化粧した若い売り子さんのつくり笑顔。
その大通りをボロボロのおばあさんが、よろよろと、そして(多分)
堂々ともしていただろう歩く姿が、
とても舞踏家などかなわない、見事な光景だっただろうな、と思う。
私にはその光景は、広場の白昼の祝祭みたいに思える。

強い真昼の光のなかを危ういヒトガタが歩く。

社会性を剥奪された、むき出しの歩行。
老女のその歩行は、無機質で味気ないよそよそしいデパートの内部を、
一瞬にして劇場に変えたことだろう。

これこそ舞踏だ。他界の息吹もある。
時空はたわんだに違いない。
見てみたかった。

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